Magic: the Gathering 『マジック:ザ・ギャザリング』

 

其ノ伍 キューブの理念


 『Magic: The Gathering』というカードゲームの話。

 

 永らくキューブ・ドラフトを遊んで専用のキューブを管理してきましたが、新作が刷られるたびに目移りしがちで未だカードの採用はしばしば迷走します。ひとつにはワリと簡単に上位互換が出てくるってのが原因ですがソレはもうトレーディング・カードゲームの宿命と割り切ることとし、ココではキューブにとって根本的に押さえておくべき本当に必要な要素について考察したいと思います。

 

 まずキューブの内容は管理人次第であり、その人がどう『Magic』をプレイしたいかという意図次第といえます。そもそもキューブ・ドラフトは出版元が推奨するプレイスタイルからハズれるもので少なくとも本流ではなく、いわば残骸が流れ着く最果ての孤島です。そこから何処へも行けませんが独自の進化が許されるのです。

 

 さりとて『Magic』は一人では遊べないゲームであり、キューブは所詮その道具です。それはあくまで参加するプレイヤーのために存在します。そして古典的な定義に従えばゲームとはつまり楽しみのために行われるべきものであって、求められるのは参加者の意思決定がより多く反映される展開を生むキューブということになります。

 

 私に関しては、序文に掲げたように『Magic』の「様々な作用の、無数の組み合わせ」がツボであり、概ねソコに共感してもらえるキューブを目指しています。すなわち美しいシナジーであり、驚くようなコンボであり、デッキの核となる環境を形作るパーツの融合です。他のカードにしてもそういった見せ場を補強する役割を期待しています。加えてドラフトしてデッキを構築する過程は、自身が見せたい表現によりシックリくる・カッチリ嵌るパーツを探し求めるブロック遊びのような感触であることが意思決定という点から望ましいと考えます(持論)

 

 翻って、キューブへの採用を控えるカードについてもそれなりの心得があります。其ノ参で例示した以外にも、大量の土地破壊はマナ基盤のリカバリーが相当限られることから厳選すべきです。また、ハイランダー(シングルトン)においては手札1枚の重要性が他のレギュレーションより増すので、軽い/狙い撃ちできる捨て札強制はマズいでしょう。
 尤もこういった効果であれ、己の身を切るものやジワジワ環境を作るタイプならあるいは容認できるかもしれません。何が判断基準になるかは様々ですがこの期に及んで思えるのは、拠所は他でもなく参加者の反応であり
「プレイヤーが面白くないと感じるカード」にこそ気を配るべきということだったりします。これは却ってフツーにシンプルで、何のことはなく公式が示す禁止スタンスと同じ帰結になります。

 

 つまるところ、共に遊ぶ相手を見て趣向を凝らしつゝいかに裏切って驚きを提供できるかがキューブ編集の醍醐味です。しかしどんなカードも組み合わせの妙で有用性や危険度が左右され、ソレにまず裏切られ驚かされるのは管理人自身です。かくして試行錯誤は続き、キューブ管理の迷走もまた繰り返されるのです・・・。

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