ある朝のこと。
竜媼“ドラコン”は冒険者の一団を生け捕りました。
黄金をくすねようと不遜にもこの住処へ押し入った者どもです。
すぐに食べてやりたいけど・・・彼女には一つ悩みがありました。
彼女は言い放ちます。
「ゲームをしましょ。一番酷いごうつくばりだけは、生かして帰したげる」
タイルゲーの一種(他にはカルカソンヌくらいしかやってないが)。

版を追うごとに主張を強めるドラコン様の御尊顔
ファンタジーの範疇ということで、かつてコレの初版を持ってました。が、どうも、もぉひとつな感じだったので手放しました(Silver
Lineって2〜3種買ったがどれもがもぉひとつな?)。
ややあって。いつの間にか第3版が出てたので、訝りつつも?買いなおしたという次第。嫌いではなかったのです。
最もわかりやすい変更は、駒がスタンド式ペーパーからプラフィギュアになったトコ(FFG商法?…しっかり乗せられやがってますが)。
手札(タイル)4枚ずつでスタート。手番にできることは2つに1つ。
手札から場に1枚置いて1枚引く。か、自駒を矢印に沿って1スペース動かす。それだけ。サクサク進みます。
骨格がシンプルな分、当然、タイルの方に特殊効果がアリアリで、駒が入った時/出る時にいろいろ起こります。金貨が手に入るタイルを巡って一定数を集めると勝利。
プレイ中の様子(※多少、実物と異なる場合があります)
さて、ココであらためて紹介する機会を持ちながら、
なぜオノレはいっぺん手放しとるのか?
ですが。分析するに、
・・
一、特定の稼ぎパターンに飽きた。
金貨タイルを1枚以上含む4枚(画像参照)をグルグル回って「コィーン・コィーン・・」とやって稼ぐパターン(通称:マリオ)がハマると、割としょうもないです。

2ターンで1個、4ターンで2個、6ターンで1UP(嘘)
二、どうしても対戦相手に一手ずつ後れるシステム上、逆転しづらい。
基本的に自分で置いたタイルを利用するのは次の手番になりますので、後れを取り戻す機会が乏しかったりします。
三、キャラ性能がショボい。
選択ルールにより、担当するキャラクターごとに特殊能力が設定されてます。が、ゲーム中に一度しか使用できない上、誰がどんな能力を持ってるか見りゃわかるのでほとんど牽制にしかならず、なかなか活かされてないように思われます。
四、盤面がソレらしくない。
ダンジョンを作りながら冒険するわけですが、タイルが正方形なもんで通路と部屋を判別しづらく、全体に整然とした印象を受けます。進行方向は矢印で表わされ、ロジカルっつーかパズルチックっつーか、どーもいただけません。
いにしえのGames
Workshopや何かの、いい意味でのえぇ加減さ、アナログっぽさが恋しくなります(それはそれでルール上モメるケースもあるが)。
まぁ、こんなところになります。
で、今作では。
一については、新機軸のドラコン駒によってある程度は解消されたようです。この迷宮の主と同じタイルで手番を終えると、スタート地点へ戻された上に金貨を1個失ってしまいます。彼女を任意に3スペースまで動かせるタイルの存在により、オイしいエリアにはたいていコレが鎮座することになります。
二についても、前述のドラコンに加えて、自駒が入った時点でさらにタイルごと移動できる《漂う部屋》、タイルを置いた時点で自駒をそこへ移動させる《脱出口》といった新タイルの存在により緩和されています。
また勝利条件も、「金貨を5個集める」から「金貨を10枚分集める」に変更されて、運の要素が増えたことで逆転の可能性も多少増したといえます(金貨は1個で1〜3枚の価値があり、無作為に引いて手元に伏せて持つ)。

材質:厚紙
三については、あまり改善されてません。
最も使い出のなかったドワーフ(手札交換)が強化されたのと、金貨に価値が設定されたことで盗賊(金貨奪取)に幅ができた程度です。
どーせなら特殊能力をカード化して、全員に無作為に配る方式にしてもらいたかった。意外性もでるし、ハンディキャップにも使えるだろに。・・というわけでウチでは日本語化も兼ねて勝手にカードにしてます。
四は、いくらかマシになったように思えます。
各タイルの色使いやイラストのバリエーションも増え、通路はより通路っぽく描かれてます。矢印もまんま矢印(⇒)から意匠寄り(>)に変更されてます。
よって及第点に至った、といったところです(エラそーに)。
…以下、オチ。
「・・あぁ、年は取りたくないねぇ」
昼食の後、彼女は巨大な入れ歯を手に、もごもごと独りごちた。
そこかしこに挟まった“突っ張った欲の皮”を穿りながら。
・・『クロちゃんのRPG千夜一夜』の話?みたいになってしまいました。
仮邦題:『 (第三回) ドラ
(ゴンから逃げる) コン (テスト)
』 2006/12/14
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